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【元バーテンダーが教える】ローランドモルトウイスキーの味や特徴、蒸留所を徹底解説

ローランドモルトウイスキーって何?スコッチの一種なの?

どんな特徴があるか教えて。

本記事はこのような悩みの方に向けて書いております。

本記事の内容

  • ローランドモルトウイスキーとは?
  • ローランドモルトウイスキーが衰退したわけ?
  • ローランドモルトウイスキーの味や香りの特徴は?
  • ローランドモルトウイスキーの蒸留所一覧
  • おすすめのローランドモルトウイスキー4選
たいちょう
たいちょう

僕は8年間バーテンダーとして銀座や六本木のオーセンティックBARで働いていました。ウイスキーの種類が豊富なBARで働いてたので、今まで数えきれない程のウイスキーを飲んできました。

スコッチウイスキーは生産地別に種類があり、味や特徴も様々です。

今回紹介するローランドモルトは、非常にライトボディでウイスキーの原料の穀物の甘味を感じます。

ローランド地方には昔は数十個の蒸留所があり、スコッチといえばローランドモルトと言われた時代がありました。

でも今では、稼働している数えきれる程の数しか存在していません・・・

なぜ、このように衰退してしまったのか?

これには、ローランド地方の蒸留所の戦略と地域性に理由が隠されています。

本記事では、ローランドモルトウイスキーの味や風味の特徴から歴史に至るまで元バーテンダーの僕が丁寧に解説します。

是非最後まで読んでみてください。

ローランドモルトウイスキーとは?

ローランドモルトウイスキーとは、スコットランドのローランド地方で作られるシングルモルト・ウイスキーの事を言います。

ローランド地方はスコットランドの経済の中心となる大都市がそびえ立ち、18世紀までは、スコッチウイスキーの90%はローランドで作られていました。

※写真はエジンバラの都市部です。

なぜローランドモルトウイスキーは衰退したのか?

たいちょう
たいちょう

結論から申し上げますと、ローランドモルトウイスキーはシングルモルトウイスキーとしては確かに衰退していきましたが、ウイスキービジネスとしては大きな成果を上げています。

これはローランドの土地柄が大きく関わっています。

ローランドはエンジンバラやグラスゴーといったスコットランドでも有数の大都市に位置していて、さらにイングランドとも接している為、大企業の資本が入り易かったのです。

 

その為、ウイスキーでより儲ける事を優先し、技術革新を行った為、伝統的な製造方法を守る事を諦めました。

 

ローランドモルトは元々は、ハイランドモルトと凌ぎを削っていたスコットランドでも有数のウイスキーの産地でしたが、自然豊かな山奥の谷で作られるハイランドモルトウイスキーには勝つ事ができませんでした。

 

しかし19世紀半ばに当時の新しい技術の連続式蒸留器を導入し、大麦麦芽以外の穀物を主体とした安価なグレーンウイスキーの大量生産が可能になり、さらに世界的なブレンデッドウイスキーのブームに乗っかり、加速度的に儲かるウイスキー作りにアクセルを踏んでいきます。

 

結果、伝統的な単式蒸留器を使った、シングルモルトウイスキーを作る蒸留所は閉鎖に追い込まれ、ウイスキーが衰退した地域と言われるようになりました。

しかし、現在でも有名なグレーンウイスキーの工場やブレンド業者、瓶詰工場の大半はローランドにあり、世界的にみてもウイスキー産業の中心地であることは今も昔も変わりません。

近年は、蒸留所が創業されるなど、ローランドモルトウイスキーの新たな幕開けを感じます。

ローランドモルトウイスキーの香りや味の特徴は?

3回蒸留のオーヘントッシャンに代表されるように、ローランドモルトウイスキーは、ライトボディで、穀物のフレーバーが強いのが香りや味の特徴です。

たいちょう
たいちょう

クセが無くて、マイルドでソフトな味わいなので、モルト入門者や女性の方におすすめです。

ローランドモルトウイスキーの蒸留所一覧

参照:楽天市場えのき商店

下記の蒸留所は一部で、ここに書ききれない程の蒸留所が閉鎖されている。

理由は、上項でも解説した通り、ローランドのシングルモルトウイスキーの衰退が原因です。

蒸留所名所有者
Ailsa Bay(アイルサベイ)ウィリアム・グラント・サンズ社
Annandale(アナンデール)ディビッド・トムソン
Auchentoshan(オーヘントッシャン)サントリー社
Bladnoch(ブラッドノック)レイモンド・アームストロング社
Daftmill(ダフトミル)カスバード家
Glen Flagler(グレンフラグラー)1985年閉鎖
Glen kinchie(グレンキンチー)ディアジオ社
Inverleven(インヴァリーブン)1991年閉鎖
Kinclaith(キンクレイス)1975年閉鎖
Ladybank(レディバンク)レディバンク・ディスティラーズ社
Ladyburn(レディーバーン)1975年閉鎖(同敷地内にアイルサベイが創業)
littlemill(リトルミル)1994年閉鎖
Rosebank(ローズバンク)1993年閉鎖
St.Magdalene(セント・マグデラン)1983年閉鎖
Kingsburns(キングスバーン)ウィームス社

ローランドモルトウイスキーのおすすめ4選

オーヘントッシャン 12年

金色
香りクリームブリュレ、シトラス、ナッツ、若葉
味わいスムースで濃いオレンジやライムの甘さ
余韻ジンジャーやナッツのような余韻
容量700ml
度数40%

オーヘントッシャン12年のおすすめポイント

  • 3回の蒸留を行うことで、軽やかで都会的なすっきりとした味わいが広がる
  • 食前・食中酒としても楽しめるローランドを代表するウイスキー

グレンキンチー12年

ゴールドに輝くブラウン
香りさわやかで切れ味が良く、繊細。甘さと辛さの驚くべきバランスを持つ、複雑で素晴らしいアロマ。やわらかなバニリンと新鮮なブドウの引き締まったドライな香り。製麦した大麦と木樽によってもたらされるナッツのような甘い香り
味わいビスケットのような甘さに続くドライな味わい。強烈なモルトのキャラクターと、かすかなブドウの果実味が対照をなす
余韻オークが香り、非常にドライで長い余韻。かすかな胡椒の香りがスパイシーさを加えている
容量700ml
度数43%

グレンキンチー12年のおすすめポイント

  • 甘美でドライ、ライトでスパイシーな味わいは、食前酒として様々な食事によく合います
  • ヘイグ・ディンプル・ジョニーウォーカーなど超有名ブレンデッドウイスキーのキーモルトとして使用されている

MHD社(モエヘネシーディアジオ)が提唱する「クラシックモルトシリーズ」においてローランドを代表するモルトウイスキーです。

要するに、ローランドの特徴が一番わかりやすいウイスキーという事ですね。

クラシックモルトシリーズとは?

蒸溜所各地域の特徴を代表する蒸溜所ごとの銘柄

  • 北ハイランドのダルウィニー
  • 西ハイランドのオーバン
  • スペイサイドのクラガンモア
  • ローランドのグレンキンチー
  • アイランズのタリスカー
  • アイラのラガヴーリン

キングスバーンズ ドリーム トゥ ドラム

クリアなゴールド
香り熟したバナナの甘さ、パイナップル
味わい柔らかなトフィーとカスタード、レッドカラント
余韻爽やかなジンジャーシロップ
容量700ml
度数46%

キングスバーン ドリーム トゥ ドラムのおすすめポイント

  • 繊細で華やかなフルーティーさと、飽きの来ないバランスの良さ、そしてモルティーな旨味
  • ウィームス社という高品質な樽のみを扱う瓶詰め業者が品質にこだわったウイスキー

アナンデール3年

透明なゴールド
香り青いバナナとバニラ、モルト、乾いたスモーク、パン酵母
味わいバニリンでモルティー、しっかりとしたスモークはクリーン
余韻ビターで長く続く
容量700ml
度数61.4%

アナンデール3年のおすすめポイント

  • 2014年の11月、約100年ぶりに操業再開となった蒸留所の最初のメモリアルウイスキー
  • 3年と若さは残るが、クリーンなボディにエレガントなスモークが素晴らしい

僕らが飲んだことがあるウイスキーのほとんどが蒸留所が創業してから100年以上の歴史があります。

なので、創業当初のボトルというのは、残っていないですし、残っていても天文学的な金額で取引をされるので僕らの手元には、まず回ってきません。

アナンデール蒸留所は1921年に閉鎖された蒸留所ですが、ディビッド・トムソンという大学教授が政府から資金調達をして2014年に再稼働されました。

稼働された最初に瓶詰めされた大変希少なウイスキーです。

たいちょう
たいちょう

50年後ぐらいにアナンデールが有名になったら、BARで隣の若造にかましてやりましょう。「わしはアナンデールが若いころから知っておる。最初に瓶詰めされたウイスキーを飲んだことあるのじゃ。。ホッホッホ」と

 

 

まとめ

ローランドモルトウイスキーが衰退していった話は非常に面白いです。

地域性や時代の流れによって戦略を変え、大量のグレーンウイスキーを製造する事で、ローランドは今でも世界的でも有数のウイスキービジネスの街になりました。

当時、ハイランドモルトウイスキーと同じ事をやっていたら、きっとウイスキービジネス自体が廃れていったのでしょう。

当時の蒸留所の経営判断に感謝しながら、今宵はライトボディのローランドモルトウイスキーを飲みましょう。

その他にも、元バーテンダーの僕がお酒に関する事やおすすめのグラスなどを紹介している記事がありますので、是非読んでみてください。

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