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【元バーテンダーが教える】アイラモルトウイスキーの味や特徴、蒸留所を徹底解説

正露丸の臭いがするアイラモルトウイスキーって何?スコッチの一種なの?

どんな特徴があるか教えて。

本記事はこのような悩みの方に向けて書いております。

本記事の内容

  • アイラモルトウイスキーとは?
  • アイラモルトの独特の臭いの正体は?
  • アイラモルトウイスキーの味や香りの特徴は?
  • アイラモルトウイスキーの蒸留所一覧
  • おすすめのアイラモルトウイスキー8選
たいちょう
たいちょう

僕は8年間バーテンダーとして銀座や六本木のオーセンティックBARで働いていました。ウイスキーの種類が豊富なBARで働いてたので、今まで数えきれない程のウイスキーを飲んできました。

 

スコッチウイスキーは生産地別に種類があり、味や特徴も様々です。

 

特に今回解説するアイラモルトは、非常にクセが強く、ウイスキー初心者には抵抗がある味かもしれません。

 

でも、アイラの味がわかるようになれば、スコッチの初心者は卒業なので、チャレンジしてみましょう!

 

本記事では、アイラモルトウイスキーについて、カウンター越しのお客様に語り掛けるように解説します。

 

この記事を読めば、アイラモルトウイスキーの味や特徴、選び方などがわかります。

 

是非最後まで読んでみてください。

アイラモルトウイスキーとは?

アイラモルトとは、スコットランドにあるアイラ島で作られるシングルモルト・ウイスキーの事です。

 

香りが非常に特徴的で、「潮っぽいの香り」「スモーキー」「正露丸のようなヨード臭」と例えられるように、他に類をないとても個性的な味わいで、お酒が苦手な方やウイスキー初心者が飲むと、最初はかなり抵抗があると思います

アイラモルトウイスキーは好き嫌いが激しいお酒ですが、熱烈なファンが多いのも特徴です。

アイラモルトウイスキーの特徴、ピート香とは?

アイラモルトウイスキーの特徴である正露丸のような薬品臭、カッコよく言うとスモーキーフレーバー、薫製香の事を「ピート香」と呼びます。

 

ピート香はピートの香りの事です。

 

では、ピートとは何か?

 

ピートとは、泥状の炭の事で、泥炭(でいたん)とも呼ばれます。(上の写真がピートです)

 

アイラ島は湿度が高く、気温が低い土地なので植物が死んだ後、土に還る事ができない場合があります。

 

土に還れなかった植物や、コケ、草などが土と混じり、堆積していって形成されたものをピート(泥炭)になります。

 

このピート燻して、ウイスキー作りに欠かせない「麦芽を乾燥させる」工程に使いました。

 

たいちょう
たいちょう

水に浸して芽を出した大麦を、ピートを燻す事で乾かし、その工程で大麦にピート香が移ったという事です。

アイラ島でウイスキー作りが盛んになった理由

アイラ島は南北約40㎞、東西約32㎞、面積約637㎢で、日本の淡路島より一回り程大きいです。

 

人口は3,400人しか住んでおらず、ウイスキー生産が島の主な産業です。

 

アイラ島がウイスキー作りが盛んな理由

  • 比較的温暖な気候で、ウイスキーの原料となる大麦の生育に適していた
  • 島の4分の1ほど厚いピート層に覆われ、ピートが大量に採取できた
  • 良質な水に恵まれていた
  • ウイスキー作りが最初に伝わったのがアイラ島だった

 

あの、正露丸のようなピート香がするウイスキーは、アイラ島で生まれるべくして生まれたのです。

アイラサイドモルトウイスキーの味の特徴は?

アイラモルトウイスキーの香り

上の項目でも説明しましたが、アイラモルトウイスキーの香りの特徴は、一言で言うと薬品臭ですが、下記のように色んな表現をされます。

  • ヨード臭
  • スモーキー
  • 潮の香り
  • 海藻の香り
  • 正露丸のような

要するに、塩っぽくて薬っぽい香りがするという事です。

アイラモルトウイスキーのスモーキーさを表す単位「フェルノール値」とは?

アイラモルトウイスキーを飲み比べていくと、スモーキーさに違いがある事がわかるでしょう。

 

その違いを数値がしたものを「フェルノール値」と呼びます。

 

一般的に、麦芽に焚き込むピートの強さ(フェノール化合物の量)を表したものが、フェノール値で、ppm(百万分率)で表されます。

アイラモルトウイスキーのフェルノール値の例

  • ボウモア:20~25ppm
  • ラフロイグ:40~50ppm
  • アードベッグスーパーノヴァ:100ppm以上(神!!)

ラフロイグのピート香が、まだ美味しい感じない場合は、40ppm以下のアイラモルトウイスキーを試してみたりと、数字で決められた単位があると目安になって便利ですね。

アイラモルトウイスキーの味

アイラモルトウイスキーの味は蒸留所によって様々ですが、一言で説明すると「スパイシー」です。

 

アイラモルトの蒸留所は、全て海辺に位置しており、海の香りがウイスキーの原料である大麦に移り「潮っぽさ、スパイシーさ」を生んでいます。

 

これだけだと、しょっぱい海水をイメージしがちですが、大麦の甘さが後からこみ上げてきて、深い甘みが口の中に広がります。

 

本当に独特なウイスキーなので、ハマる人は抜け出せなくなりますwww

 

他のスコッチだと物足りなくなってしまうのです。

アイラモルトウイスキーの蒸留所一覧

参照:Google My MAP

アイラ島は日本の淡路島程の大きさですが、世界的に有名な蒸留所が10個存在します。

蒸留所名所有者
Ardbeg(アードベッグ)ディアジオ社
Boemore(ボウモア)サントリー社
Bruichladdich(ブルイックラディ)マーレイ・マクダビット社
Bunnahabhain(ブナハーブン)CLフィナンシャル社
Caol Ila(カリラ)ディアジオ社
Kilchoman(キルホーマン)キルホーマン社
Port Ellen(ポートエレン)1983年閉鎖
Port Charlotte(ポートシャーロット)マーレイ・マクダビット社
Laphroaig(ラフロイグ)サントリー社
Lagavulin(ラガブーリン)ディアジオ社

アイラモルト特有のピートの香りは、シングルモルトだけでなく、ブレンデッドウイスキーのキーモルトとして使われる事が多く、有名なブレンデッドスコッチでアイラモルトが入っていないウイスキーは存在しないといってよいです。

アイラモルトウイスキーのおすすめ8選

アードベッグ 10年

淡いゴールド色
香り爽やかで海を思わせるヨード香、燻製魚、炭焼コーヒーの香りに、柑橘系の果実の香りが加わる。
チョコレートとタフィーの甘さ、シナモンスパイス、薬品のようなフェノールの香りが魅力的に入り混じっている。
味わい口当たりは、最初少しぴりっとした刺激があり、その後重厚感が現れ甘美な味わい。
フィニッシュはドライ。タバコの煙とエスプレッソコーヒーのフレーバーとともに、深みのあるピート香が口一杯に広がる。
余韻余韻は長く豊かでスモーキー。砕いたピートや麦芽の甘みが残る。
容量700ml
度数46%

アードベッグ12年のおすすめポイント

  • 2008年ワールド・ウィスキー・オブ・ザ・イヤー受賞
  • 全モルトの中でも最強クラスのスモーキさ
アイラモルトの卒業試験にぴったりなウイスキー。
アイラモルトの特徴である、「ピート香、スモーキーフレーバー、薬品臭」どれをとってもずば抜けて強力です。
アードベッグを美味しく飲めるようになれば、あなたもアイラ通と言ってよいでしょう。
アイラ通は、この爆発的なスモーキーさに慣れて他のウイスキーに物足りなさを感じる人が多いのでご注意を

ラフロイグ 10年

濃い金色
香り爽快なピート・磯
味わい滑らかでややオイリーなコク
余韻海藻を思わせるユニークな心地よい後味
容量700ml
度数40%

ラフロイグ10年のおすすめポイント

  • シングルモルトとして初めて英国王室御用達と認定されたウイスキー
  • アイラモルトの代名詞。「アイラモルトの王」と呼ばれている
  • ソーダ割りにすると何杯でも飲める

アイラモルトの中で最も知名度が高いのが、この「ラフロイグ」です。

 

「ラフロイグ」を置いていないBARはほぼ無いので、もしかしたら見覚えのある方もいると思います。

 

本当に独特な味と香りなので、「好きになるか、嫌いになるかのどちらか」というキャッチフレーズがついているほどです。

 

現行の商品は、このラフロイグ10年とラフロイグSELECTと呼ばれる2本ですが、過去には熟成する樽にシェリー樽(ペドロヒメレス)を使ったりと様々な味のボトルを出していました。

 

現行のラフロイグが荒々しい不良少年であれば、このペドロヒメレスカスクのラフロイグは、元ヤンキーで今は優しい警察官です。普段は優しいですが、言葉の節々にヤンキー臭漂う、好青年といったところでしょうか。

ラフロイグについては個別で解説をしている記事がありますので是非読んでみてください。

ラガブーリン16年

わずかに赤みがかった琥珀色
香りスモーキーながらもわずかに干しブドウの様な甘い香り
味わいスパイシー、スモーキー、ウッディーな味わいがバランスよく広がる
余韻スパイシーでスモーキーな味わいと共に海草とダークチョコのようなほろ苦さが加わり、長く心地よく続く
容量700ml
度数43%

ラガブーリン16年のおすすめポイント

  • スモーキーかつドライな味わい
  • ウイスキー評論家マイケルジャクソンの評価は100点中95点と超高評価

カリラ12年

明るく輝くゴールド
香りスモーキーさの中にヨードの香りが漂う
味わいバランスの良い甘み共にスモーキーフレーバー。
武骨ながらもどこか上品とも思わせる複雑な味わい
余韻ドライでスパイシーな味わい
容量700ml
度数43%

カリラ12年のおすすめポイント

  • アイラモルトの中では比較的ドライだが超辛口モルト
  • 加水すると表情を変えて、甘みが深まる

ラガブーリンと同じ大麦を使って作られたウイスキーだが、こんなにも出来上がりに違いがでるのがウイスキーの奥深さでもあり、面白さでもあります。

カリラの辛さは天下一品、これは気化したアルコールを冷やす冷却水にアイラモルトの中で唯一海水を使っている事が要因の一つです。

ボウモア12年

琥珀色
香りスモーキー・レモン・はちみつ
味わいスモーキー・ダークチョコレートを想わせるあたたかみのあるコク
余韻長くて繊細
容量700ml
度数40%

ボウモア12年のおすすめポイント

  • 「アイラモルトの女王」と呼ばれ、スモーキーさと甘みのバランスが良い。
  • アイラモルト初心者はまずボウモアを飲めば、アイラモルトが好きになる!

バーテンダー時代に、初めてアイラモルト飲む方には必ずボウモアを勧めていました。

理由は、ラフロイグを最初に飲むと、アイラモルトの特徴がすごくわかりやすいのですが、嫌いになってしまう方も多いので、甘みとスモーキーさのバランスが良いボウモアがおすすめなのです。

かといって、初心者向けのモルトではなく、熟成年数が高い15年のシェリーカスク熟成のボウモアはモルトの甘味とフレーバーさの中にシェリーの甘みも加わり、非常に複雑ですが奥深さがあるのでウイスキー中級者の方にもおすすめです。

ボウモアについては、下記の記事で徹底的に解説をしております。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:【元バーテンダーが語る】ボウモア12年のうまい飲み方 実は正露丸の味でまずい?

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キルホーマン マキヤーベイ

ペールストロー

香り強いピートスモーク、ミックスフルーツ、バニラ、香ばしい麦。
味わいバニラ、トロピカルフルーツ、ピートスモークを伴うフレッシュで長い余韻。
余韻フレッシュで小気味良いピーティな余韻
容量700ml
度数46%

キルホーマン マキヤーベイのおすすめポイント

  • 124年ぶりにアイラ島で設立した蒸留所。アイラモルトの新人王
  • アイラ島で唯一、ウイスキー生産の全工程をアイラ島と完結させた蒸留所
  • アイラモルトらしくない、バニラやレモンを感じる味わいで初心者の方おすすめ

ブナハーブン 12年

透明度が高い黄金色
香りねっとりしてて重厚、熟したプラムやアプリコット、金平糖、香ばしい黒豆やチャーしたようなウッディネス、少しえぐみがある
味わい粘性を持ったカラメル。上品な酸味を纏ったアプリコット、シルキーな舌触りのべっこう飴、ブラックチョコのショコラ、カステラの皮。
余韻とても長く続く余韻。りんごそのものよりもりんごらしい後味
容量700ml
度数40%

ブナハーブン12年のおすすめポイント

  • アイラ島で希少なピートをあまり焚かないウイスキーでアイラモルトで一番軽い
  • アメリカのブッシュ大統領が愛飲していてアメリカ市場では人気

ガツンとくるアイラモルトウイスキー特有のスモーキーさを感じたい人には少し物足りなさを感じてしまうかもしれません。

しかしフレッシュな潮の香りが上品さを醸し出します。

アイラモルトウイスキーを一通り飲んだ方が、一周して良さに気付く一本だと思います。

ブルックラディ クラシック・ラディ

薄くクリアなゴールド
香り分厚いアルコール感がある。濃いカラメル、バニラのアロマ、ナッツ、バナナ、青リンゴ。
味わい アルコールの押しが強い。強いカラメルの刺激、バナナや青リンゴのスムースな甘味、ナッツの香ばしさ、仄かな焦げっぽさなど。
余韻カラメルとアルコール感がメイン。
容量700ml
度数50%

ブルイックラディ クラシックラディのおすすめポイント

  • ピートを使わない製法なので、非常にドライ
  • ノンエイジだが、非常にバランスが良く、完成度が高い

まとめ

アイラモルトウイスキーは、まさにウイスキーの登竜門と言える独特な味と風味を兼ね備えています。

アイラモルトウイスキーの方は、まずボウモア12年を試してみて、アイラのスモーキーさを舌で感じてみてください。

またアイラモルトウイスキーが好きという方は、現行のモデルではないですが、熟成樽にこだわったシリーズがあるので、荒々しさの中にある深い甘みやコクを感じてみてはいかがでしょうか?

生産地別のスコッチウイスキーについてまとめております。

ぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

その他にも、元バーテンダーの僕がお酒に関する事やおすすめのグラスなどを紹介している記事がありますので、是非読んでみてください。

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