スコッチウイスキーってバーボンやシングルモルトと何が違うの?
種類が多すぎで訳がわからない・・・
本記事はこのような悩みの方に向けて書いております。
- スコッチウイスキーとは?分類の仕方や違いを徹底解説
- おすすめのスコッチウイスキーを紹介
僕は8年間バーテンダーとして銀座や六本木のオーセンティックBARで働いていました。ウイスキーの種類が豊富なBARで働いてたので、今まで数えきれない程のウイスキーを飲んできました。
ウイスキーには種類や呼び名が多すぎて、混乱する事が多いですよね。
間違って覚えて、BARや友達の前で恥ずかしい事にならないように、スコッチウイスキーについて徹底的に解説します。
永久保存版なのでぜひ、ブックマークしてください。
スコッチウイスキーとは?分類の仕方や違いを徹底解説
結論から申し上げますと、スコッチウイスキーはとは、スコットランドにある蒸留所で作られたウイスキーです。
しかしバーボンだったり、シングルモルトだったりウイスキーにはいろんな種類がありますよね。
ウイスキーの分類について体系立てて解説していきます。
世界の5大ウイスキーとは?
世界5大ウイスキーと呼ばれているのは下記の5つの国のウイスキーです。
- アメリカ産のバーボンウイスキー
- スコットランド産のスコッチウイスキー
- アイルランド産のアイリッシュウイスキー
- カナダ産のカナディアンウイスキー
- 日本産のジャパニーズウイスキー
ウイスキーは元々、スコットランドとアイルランドで生まれましたが、大陸を超えて世界中の国で作られるようになりました。
5大ウイスキー以外にも、タイや台湾などの国でも作られており、今では世界中の国で気候や製法、原材料を工夫してウイスキーが作られているのです。
スコッチウイスキーは、世界5大ウイスキーの一つとして分類されます。
スコッチ生産地別6大ウイスキーとは?
世界5大ウイスキーの一つであるスコッチウイスキーにもスコットランドの生産地によって6つに分類されます。
分類 | 味や香りの特徴 | 蒸留所の数 | 有名な銘柄 |
スペイサイドモルト | フルーツや花のような香り 蜂蜜のように甘い味わい | 52箇所 |
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ハイランドモルト | 穏やかな味わいで初心者向け | 43箇所 |
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ローランドモルト | 非常にライト。 穀物フレーバーが特徴 | 8箇所 |
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アイラモルト | 塩の香り、正露丸の香り 味わいはスパイシー | 9箇所 |
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アイランズモルト | 共通する特徴は無し | 10箇所 |
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キャンベルタウンモルト | 塩辛い アイラとハイランドの中間 | 3箇所 |
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スペイサイドモルトウイスキー
スコットランドのハイランド地方東部を流れるスペイ~流域で造られるモルトウイスキーをスペイサイドモルトウイスキーと呼びます。
現在スコットランドには130程の蒸留所がありますが、その半数に近い52の蒸留所がスペイサイドに集中しています。
スコッチウイスキーの激戦区エリアです。
お花や洋梨のような香りで味は蜂蜜のような甘みがあるウイスキーが特徴です。
マッカランやグレンリベット、グレンフィデックなど超有名ウイスキーの蒸留所があるエリアです。
関連記事:【元バーテンダーが教える】スペイサイドモルトウイスキーの味や特徴を徹底解説
ハイランドモルトウイスキー
スコットランドの北部で作られるウイスキーの事をハイランドモルトウイスキーといいます。
ハイランドには、現在43箇所の蒸留所があり、味や作り方がバラバラなのでハイランドをさらに東西南北4つの地域に分けて分類する事が一般的です。
- 北ハイランド
- 東ハイランド
- 南ハイランド
- 西ハイランド
味や香りはエリアによってバラバラですが、他のエリアのウイスキーと比べて主張が少なく、ウイスキーの原材料の麦の香りを楽しめる初心者向けの飲みやすいウイスキーが多い事が特徴です。
グレンモーレンジやクライヌリッシュ と行った世界的に有名な蒸留所があるエリアです。
関連記事:【元バーテンダーが教える】ハイランドモルトウイスキーの味や特徴、蒸留所を徹底解説
ローランドモルトウイスキー
ローランドモルトウイスキーとは、スコットランドのローランド地方で作られるシングルモルト・ウイスキーの事を言います。
ローランド地方はスコットランドの経済の中心となる大都市がそびえ立ち、18世紀までは、スコッチウイスキーの90%はローランドで作られていましたが、現在では数え切れるほどの蒸留所しか残っておりません。
なぜここまで衰退したのかは、下記の記事で解説しています。
関連記事:【元バーテンダーが教える】ローランドモルトウイスキーの味や特徴、蒸留所を徹底解説
ローランドモルトは、蒸留する回数が他のエリアより1回多い3回蒸留なのでライトな味わいで、穀物の香りが強いのが特徴です。
アイラモルトウイスキー
アイラモルトとは、スコットランドにあるアイラ島で作られるシングルモルト・ウイスキーの事です。
香りが非常に特徴的で、「潮っぽいの香り」「スモーキー」「正露丸のようなヨード臭」と例えられるように、他に類をないとても個性的な味わいで、お酒が苦手な方やウイスキー初心者が飲むと、最初はかなり抵抗があると思います。
アイラモルトウイスキーは好き嫌いが激しいお酒ですが、熱烈なファンが多いのも特徴です。
ボウモア、ラフロイグなど小さな島に世界的に有名な蒸留所が多数あります。
関連記事:【元バーテンダーが教える】アイラモルトウイスキーの味や特徴、蒸留所を徹底解説
アイランズモルトウイスキー
アイランズモルトウイスキーとは、アイラ島を除く、スコットランドの島で作られるシングルモルト・スコッチの事を言います。
以前はスコッチの生産地としての「アイランズ」という分類は存在せずに「ハイランド」の中に含まれて分類されていました。
しかし最近は世界的に有名な蒸留所も登場して、「アイランズモルト」と一括りで呼ぶようにりました。
複数の島国で作られている為、味や香りに共通点はありません。
アイラモルトのようにスパイシーなウイスキーもあれば、ハイランドモルトのように穏やかなウイスキーもあります。
タリスカーやハイランドパークといった有名な蒸留所があります。
関連記事:【元バーテンダーが教える】アイランズモルトウイスキーの味や特徴、蒸留所を徹底解説
キャンベルタウンモルトウイスキー
キャンベルタウン・モルトウイスキーとは、スコットランドのキャンベルタウンという港町で作られたシングルモルトウイスキーの事を指します。
人口5,000人ほどの小さな町に、かつてはウイスキーの蒸留所が33個も存在していて、ウイスキー製造は街の主の産業でした。
しかし、現在、稼働している蒸留所はたったの3つです。
ここまでウイスキー産業が衰退していった理由は下記の記事で解説しています。
関連記事:【元バーテンダーが教える】キャンベルタウンモルトウイスキーの味や特徴、蒸留所を徹底解説
スコッチの製法・原材料での分類方法
今まで解説してきたのはてシングルモルトウイスキーの分類方法についてです。
スコッチには製法や原材料での分類の仕方があるので、解説していきます。
名称 | 製法 | 原材料 |
シングルモルトウイスキー |
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ヴァテッドウイスキー |
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ブレンデッドウイスキー |
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グレーンウイスキー |
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シングルモルトウイスキーとは?
スコッチといえば、シングルモルトウイスキーです。
大麦麦芽(モルト)を原材料にして、一つ(シングル)の蒸留所で作ったウイスキーの事をいいます。
蒸留所によって製法や使う水、気候などが異なる為、個性的なウイスキーが多い事が人気の理由の一つです。
ヴァテッドウイスキーとは
スコッチのヴァテッドウイスキーは、ほとんど存在しないので覚える必要はないと思います。
要するに複数の蒸留所のシングルモルトウイスキーを混ぜ合わせて作られたものです。
ブレンデッドウイスキーとは?
ブレンデッドウイスキーとは、この後解説をするグレーンウイスキーとシングルモルトウイスキーを混ぜて作られます。
シングルモルトは、環境(風土)が作り、ブレンデッドは人が作ると言われていて、ブレンダーという職業の方が何千、何万というウイスキーの原酒を絶妙なバランスで混ぜ合わせ、最高の味を演出するのです。
スコッチウイスキーといえばシングルモルトですが、実は売上的には圧倒的にブレンデッドウイスキーの方が上です。
バランタイン、シーバスリーガル、ジョニーウォーカーなど世界的に有名なウイスキーのほとんどはブレンデッドウイスキーです。
グレーンウイスキーとは?
スコッチのグレーンウイスキーを飲んだことは僕もありません。
単体で市場に出回ることはほとんどなく、主にブレンデッドウイスキーを作る際に使われます。
とうもろこしや小麦から作られるの、ウォッカに近い味わいだそうです。
おすすめのスコッチウイスキーを紹介
元バーテンダーの僕がスコッチウイスキーの生産地別のおすすめを紹介します。
スペイサイドウイスキー(クラガンモア)
色 | 薄い琥珀色 |
香り | 蜂蜜と柑橘系の香りがあり非常に甘く。 |
味わい | 香り同様、華やかで女性的 |
余韻 | モルトの香りが長く続く |
容量 | 700ml |
度数 | 40% |
- ウイスキー評論家のマイケル・ジャクソンの採点で90点(ポー♬の方じゃないです)
- 香り豊かで飲み口が柔らかいのでウイスキーが苦手な方でも女性でもいくらでも飲める
- UD社が提唱していた、蒸溜所各地域の特徴を代表する蒸溜所ごとの銘柄「クラシック・モルト・シリーズ」にも選ばれていて非常に評価が高い
クラガンモアは、マッカラン同様スペイサイドモルトを代表するウイスキーです。
マッカランはサントリーのプロモーション力もあり、日本でも有名なスペイサイドモルトウイスキーになりましたが、クラガンモアは日本ではまだ、それほど評価されていません。
理由は、オールドパーやホワイトホースなど有名なブレンデッドウイスキーに原酒を提供している為、シングルモルトとしての流通はそこまで多くないからです。
なので、知っていると友達に自慢できるカッコ良いウイスキーの一つですね。
ハイランドモルトウイスキー(グレンモーレンジ オリジナル)
グレンモーレンジ オリジナル テイスティングノート | |
色合い | やや淡い黄金色 |
香り | 暖炉の炎に照らされているように、表情豊かな陰影が現れる。 エスプレッソ、フレッシュミントティー、 ココアをまぶしたチョコレートタルトの アロマが幾層にも重なる。 |
味わい | とろけるような甘さと、絹のようななめらかさ。 はじけるようなスパイスとモカの苦味の対比が素晴らしい。 アプリコットの焼き菓子やオレンジピールの官能的な味わい。 加水するとシナモンとコーヒービーンズ、 くるみオイル、そしてビスケットの ような麦芽の風味に包まれる。 |
フィニッシュ | 爽やかなミントやレモンの余韻。 |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
価格 | 約4,000円 |
- スコッチの本場スコットランドで一番愛されているウイスキー
- ブレンド用の供給が一切なく、シングルモルトでしか味わう事ができない
グレンモーレンジの美味しい飲み方や香り、歴史などをまとめた記事を解説しております。
関連記事:【元バーテンダーが語る】グレンモーレンジのおすすめの飲み方 ハイボールもOK
ローランドモルトウイスキー(グレンキンチー12年
色 | ゴールドに輝くブラウン |
香り | さわやかで切れ味が良く、繊細。甘さと辛さの驚くべきバランスを持つ、複雑で素晴らしいアロマ。やわらかなバニリンと新鮮なブドウの引き締まったドライな香り。製麦した大麦と木樽によってもたらされるナッツのような甘い香り |
味わい | ビスケットのような甘さに続くドライな味わい。強烈なモルトのキャラクターと、かすかなブドウの果実味が対照をなす |
余韻 | オークが香り、非常にドライで長い余韻。かすかな胡椒の香りがスパイシーさを加えている |
容量 | 700ml |
度数 | 43% |
- 甘美でドライ、ライトでスパイシーな味わいは、食前酒として様々な食事によく合います
- ヘイグ・ディンプル・ジョニーウォーカーなど超有名ブレンデッドウイスキーのキーモルトとして使用されている
MHD社(モエヘネシーディアジオ)が提唱する「クラシックモルトシリーズ」においてローランドを代表するモルトウイスキーです。
要するに、ローランドの特徴が一番わかりやすいウイスキーという事ですね。
蒸溜所各地域の特徴を代表する蒸溜所ごとの銘柄
- 北ハイランドのダルウィニー
- 西ハイランドのオーバン
- スペイサイドのクラガンモア
- ローランドのグレンキンチー
- アイランズのタリスカー
- アイラのラガヴーリン
アイラモルトウイスキー(ボウモア12年)
色 | 琥珀色 |
香り | スモーキー・レモン・はちみつ |
味わい | スモーキー・ダークチョコレートを想わせるあたたかみのあるコク |
余韻 | 長くて繊細 |
容量 | 700ml |
度数 | 40% |
- 「アイラモルトの女王」と呼ばれ、スモーキーさと甘みのバランスが良い。
- アイラモルト初心者はまずボウモアを飲めば、アイラモルトが好きになる!
バーテンダー時代に、初めてアイラモルト飲む方には必ずボウモアを勧めていました。
理由は、ラフロイグを最初に飲むと、アイラモルトの特徴がすごくわかりやすいのですが、嫌いになってしまう方も多いので、甘みとスモーキーさのバランスが良いボウモアがおすすめなのです。
かといって、初心者向けのモルトではなく、熟成年数が高い15年のシェリーカスク熟成のボウモアはモルトの甘味とフレーバーさの中にシェリーの甘みも加わり、非常に複雑ですが奥深さがあるのでウイスキー中級者の方にもおすすめです。
ボウモアについては、下記の記事で徹底的に解説をしております。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【元バーテンダーが語る】ボウモア12年のうまい飲み方 実は正露丸の味でまずい?
アイランズモルトウイスキー(タリスカー10年)
色 | 輝くようなゴールド |
香り | ほのかな海水の塩、生ガキそして柑橘系の甘みを感じさせる、力強いピートのスモーキーな香り |
味わい | 煙るようなスモーキーさと力強いモルトの香味を伴う、豊かなドライフルーツの甘み。温かく、情熱的。のどの奥にペッパーの香りを感じる |
余韻 | 食欲をそそる甘みを伴った、広大な、長く温かいペッパーを伴うフィニッシュ。 |
容量 | 700ml |
度数 | 45.8% |
- 舌の上で爆発する胡椒風味
- BARでハードボイルドに決めるなら、タリスカーは外せません。
- 胡椒や塩味の中にある、複雑な甘みが非常に良いバランスを保っています。
タリスカー(Talisker)は僕が大好きなモルトウイスキーの5本の指に入ります。
美味しい飲み方やタリスカー(Talisker)の歴史についてまとめた記事があるので、是非読んでみてください。
関連記事:【元バーテンダーが語る】タリスカー10年のうまい飲み方 ハイボールでもOK
キャンベルタウンモルトウイスキー(スプリングバンク10年)
色 | 秋の黄金色 |
香り | 洋ナシ、バニラ、麦芽、かすかなピート |
味わい | 麦芽、ぴりっとした塩気、シナモン、ナツメグ、バニラエッセンス、オーク材 |
余韻 | 潮とバニラの余韻 |
容量 | 700ml |
度数 | 46% |
- お酒好きの女性を満足させるモルト界の香水
- ウイスキー評論家のマイケルジャクソンの採点では5段階中、5つ星の最高ランク
- 全モルトウイスキーの中で最も塩味がする
強烈な塩味と固定的な甘みがマッチし絶妙なハーモニーを描く、まさにキャンベルタウンモルトを代表するウイスキー。
とくに香りが非常に豊かで、グラスに次ぐだけで、ディフューザーのような効果をもたらし部屋の中に甘い香りが充満します。
飲み口が甘いので女性が飲むのにもぴったりで、女性を口説く時に飲むウイスキーとしておすすめです。
まとめ
改めて、スコッチウイスキーの分類や他のウイスキーとの違いをまとめます。
スコッチウイスキーは、世界5大ウイスキーの一つであり、スコットランドの生産地でさらに6つに分類する事ができます。
また、製造方法や原材料によっても4つに分類する事ができます。
正しい知識を整理してウイスキーのウンチク語っていきましょう。
その他にも、元バーテンダーの僕がお酒に関する事やおすすめのグラスなどを紹介している記事がありますので、是非読んでみてください。